暗い部屋に差し込むひと筋の光が
明るくなると見えないなんて
そんな悲しいことってないよな
また時間が経って暗くなり
外灯かマンションの光が分かんないけど
同じように差し込んでくる
明るい時間は見向きもされなかったのに
困った時だけ頼りにされたって
未来を掴むきっかけにされたって
希望を見出したような顔を向けられたって
嫌になるよな
反吐が出るよな
でも俺はすがるよ
そこから切り開き
朝を迎え
長い時間をお前と過ごすんだ
寿命が迫っているなんて
そんな話を俺は信じない
だってお前はピンピンしているじゃないか
健康を気遣った食事をしているじゃないか
車に乗らずに電車を使うじゃないか
危ない橋を渡らず遠回りするじゃないか
パンを食ってコーヒーを飲んで
笑っているじゃないか
誰だ
その馬鹿げた宣告をした奴は
どいつとどいつとどいつだ
俺が順番にとっつかまえて
嘘だと言わせてみせる
本当だとしても
嘘だと言わせてみせる
そして帰ってきて
お前に報告して
ホッとした顔を見て
楽しく暮らしていくんだ
何を見たのか知らないが
覚えたての言葉で真実を語ろうとする者たち
伝わると思っている者たち
俺はそういう奴らが大っ嫌いだ
俺は
自分の目で見たとて信じない
俺は現実を見ているし
目を背けたり投げやりになったりはしない
しかし苦しみを
「いい経験」や「いいきっかけ」と捉え貶めることもない
ただ俺が俺だったということであり
違う人間ならこうはならなかった
差し引きマイナスになるとか
ぎりぎりプラスになるとか
そういうふうには生きてはいない
積み上げること
それも俺の人生が終わるその時まで
間に合うか間に合わないかの話だ
間に合えば何の問題もない
間に合わなくても
何の問題もない
求められるほど
それを与えられないと思う
たとえば愛とか
いや正に愛のことだが
形のないものは
その輪郭を描かねば
存在を信じられない
昼も夜も
ぶっ通しで語り続けても
筆を走らせても
その輪郭は曖昧なままで
有色ガスか泡のようである
虹のように見えたとて同じことだ
こんなもの
こんなよく分からないものは
とても渡すことができない