2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

短編小説『チャールズの独り言』

チャールズがフランクフルト空港に着いたのは、朝の六時過ぎだった。そこから一時間ほど電車に揺られてフランクフルト駅にたどり着き、二メートルもあるチャールズよりさらに三メートルほど上にある石造りのアーチ型の庇を見あげながらくぐって、立ち止まっ…

詩『ベットは俺』

スロットを回す 回した瞬間 もう分かってんだ 自分がすっからかんになるって 俺はプロじゃない プロは毎日毎日 朝から晩まで打つ いい台の いい時間帯を見極めるために 来た…… じゃらじゃらと音がする 今のところ勝ってる 勝ってるぞ けど分かってんだ 生涯…

詩『プール』

忘れられなくて辛いことがあるとする でも忘れられないって言っても 辛いって言っても その中で俺はときどき 大いに笑っている 大いに怒っている 大いに楽しんでいる 一番 人生でいっちばん辛いことがいつまでも更新されないから 全く同じことで悩んでんだ …

詩『決めごと』

打ちのめされたとき 打ちのめされた とそのことばかりに目がいって ため息をついて むしゃくしゃして 思い切り叫びたいけれど恥ずかしいから口の中で唸ったりして 叫びたいけれど誰かにきこえたら恥ずかしいからやめておこう という咄嗟の判断をしているうち…

詩『どうもしない』

気分のいいときだったら気にならないような 何かつまらないことが続いて 終わりにしようと思っても 次に考えるのは終わらない理由で じゃあ終わらせたくないかというとそうとも言い切れず さっき自分が本気で終わらせようとしていた記憶はちゃんとある そし…