2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

詩『カラス』

夜中に鳴くカラス 私はその鳴き声で目を覚まし 布団を口の辺りまでひきあげ 不吉だ と思う カラスの方はきっと 何かしらの事情があって 夜中に鳴いて それで不吉だなんて思われて あの大きな 真っ黒の ゴミを漁るカラスは 不吉な要素ばかりのようで 私たちは…

詩『ガラクタ』

貸してあげたガラクタ あんなに喜んでいたのに どうして失くしちゃったの どうしてもと言うから 貸してあげたのに あなただから 貸してあげたのに 失くしちゃった と言う前に あなたがどれだけ探したとしても 家ごとひっくり返して探したとしても 失くしただ…

詩『カン、クル、スン。』

カンカンとアパートの階段をあがり 隣の家からシチューのいいにおいがして クルクル回る換気扇の前で立ち止まった私は いいなあ といいにおいなのに寂しく思う ポーンと鞄をベッドに投げて そのベッドに倒れこもうとしたら鞄が邪魔で 嫌になる それでも鞄を…

詩『一分か二分の優しいおじいさん』

向こうから歩いてきたおじいさんに 道を教えてもらい とても優しかったとき 家族がいて友達がいて 連れ添って何十年の奥さんがいるにおいがしたとき このおじいさんになりたいと思う たまたま機嫌が良かっただけかもしれないけど 道を教えてもらう間の一分か…