2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

詩『誰かの人生』

不平不満をこぼしてばかり そんな私を見かねたあなたは じゃあ生まれてからの理想の人生を書いてみなよ と言う 机の上に差し出された まっしろの紙と 削りたての鉛筆 私は書いた こうだったら良かったのに こうだったら幸せだったのに 削りたての鉛筆は 身を…

詩『あれもこれも』

ハンバーガーが食べたい ビールが飲みたい 海に行きたい セックスがしたい なんてことは すぐ言えるのに 言ったそばから叶えることができるのに 幸せにしてやりたいと思えなくなった とあなたが言ったとき じゃあ私は私で幸せになる と言った私はどうやって…

詩『皮膚』

爪を切ったときに ぽろぽろと床に落ちるように 毛を切ったときに はらはらと床に落ちるように 古くなった皮膚も 目に見えるくらいの大きさで落ちてほしい いっそ 蛇が脱皮するみたいに あるときいっぺんに皮膚を脱ぎたい そしたら私は 大きな声で言う あー皮…

詩『日曜日の夕方』

くたびれた車両の中 くたびれたシートの上 くたびれた私は帰って晩ごはんを作る面倒くささのことを考え その投げやりな思考は 何時間走り回っても疲れ知らずだった幼い頃の思い出を持ってきて 私は無意識に 近くでない景色を求めて窓の外に目をやる 視線の移…

詩『夢』

思い描いていた未来が がらがらと音をたてて崩れ落ち 半分になった 半分以下になった 何日も泣き続けて それからやっと涙を拭って もう一度建て直そうと あちこちから欠片を集めて積み重ね やっと元の高さに戻ったと思ったら それはとても不安定で頼りなく …

詩『友達』

あなたの悲しみ あなたの喪失感 そんなもの 私に分かりっこない だって私 悲しんでないし 失ってないし あなたがもし 自分と同じように 悲しんでよ泣いてよと言うならば 私は悲しいふりだってするし涙も流す けれど私は そんなことを言うあなたと 友達になっ…

詩『手』

「失った」と思ったけど 「失った」ってそもそもなんて傲慢な言葉 飲みこんで消化したわけでもないのに それが自分のものになったと思う人の傲慢な言葉 手に入れるという言葉に 自分の手で 五本の指を使って ものを掴む以外に意味があるなんて 私は信じない …