2014-01-01から1年間の記事一覧

詩『言いたいことがあるなら封書で頼む』

人からあーだこーだ言われて駄目かもしれないと思い 俺は間違っている 馬鹿だ 物覚えが悪い 努力が足りなかった 才能がなかった と認めるのはすごく簡単だふつふつと湧きあがる怒りに似た感情 ああ確かに俺は間違っているのかもしれない 馬鹿なのかもしれな…

詩『かもしれない症候群はビルの屋上に立って何もしないタイプ』

どれだけ自分を作り上げたつもりでいても 確固たる信念を持っていても 次々と現れて俺に襲いかかる不安 もう駄目なのかもしれない 最初から才能なんてなかったのかもしれない 文無しになってホームレスになるかもしれない かもしれない 可能性に過ぎないのに…

詩『堕落、食い物、宝くじについて』

部屋には食べ物が何もなかった どうして何もないんだ? 俺は食べ物が尽きることのない部屋を思い浮かべる 常にその先一週間分の食料を備蓄した部屋 腹が減れば 手を伸ばせば食い物が手に入る部屋 野心をなくし ぶくぶく太り 髭はぼうぼう 風呂にも入らなくな…

短編小説『あるヒトコブラクダの話』

チャールズは、砂漠に点在する町と町との間を、商人に連れられて、大きな荷物を運ぶヒトコブラクダだった。ビルの建つ大きな町も、風が吹けば飛んでしまいそうな小さな町も、チャールズは知っていた。 商人は仕事を片付けると、すぐに次の町へ旅立った。宿に…

詩『人類が数字を発明したが最期』

毎日何もせず できるだけ何もせず 死へのカウントダウンを一つずつ 周りがざわつき始める おいおい 大丈夫か? 何かあったのか? 静かにしろ 俺は数えてるんだ 周りは非難がましくなる 何やってんだよ? 何がしたいんだ? とにかく何かしろよ 働けよ 外に出…

詩『ブービー賞』

ガキの頃から思っていた やってやろうと 今に見ていろと 仮面を被って辺りを伺いながら 俺は普通を装った 油断させていたのだ 誰にでもできる方法で褒められようとは思わなかった 俺にしかできないやりかたでやっつけてやろうと思っていた その「俺にしかで…