詩『ブービー賞』

ガキの頃から思っていた
やってやろうと
今に見ていろと


仮面を被って辺りを伺いながら
俺は普通を装った
油断させていたのだ


誰にでもできる方法で褒められようとは思わなかった
俺にしかできないやりかたでやっつけてやろうと思っていた
その「俺にしかできないやり方」を見つけられないままに


で今
俺は未だ
それを見つけられずにいる


俺のやり方なんてもの本当にあるのか?


疑い始める
人にどう言われようと気にしないくせに
自らが疑い始めると止まらない
疑いは自信を揺るがす
「俺はそういう人間じゃないのかもしれない」
その自信を立て直すべく
誰にでもできる方法にすがってしまう


そこでホッとしてしまうこと
それは俺が一番恐れていること
死よりも恐れていること


だがしかし
誰にでもできる方法さえ
俺には手の届かないものになりつつある


俺はそこに
不安以上の期待を抱いて微笑んでしまう
そろそろ周りの奴らは俺の異変に気づき始めている
奴らがそう言うなら
俺は少しおかしいのかもしれない
奴らにとっては
という意味だけど


手が届かないとなれば
他方に手を伸ばすまでだ
伸ばすまでというか
伸ばすしかない


手を伸ばした先に果実があれば
俺はどう思うだろう
幸福だろうか
不幸だろうか


本当にこれでいいのか
本当にこれが俺の探し求めていたものなのか
またしても疑う――


だから俺は
ほしいものを探すのをやめた
ほしくないものを探す
街できょろきょろ
部屋できょろきょろ
あれもいらない
これもいらない
バッテンをつけていく


そうやって行きついた先に
最後まで残っているものが
まあ俺がやらなくちゃいけないものなんだろう


行きついた先に何もなくても
大したことじゃない
俺のやらなくちゃいけないことは「ない」ってこった


それはそれで
すっきりしていいんじゃないか?
例えお先真っ暗って感じでも
いいんじゃないか?
いいだろう?