詩『MONSTER』

求めているものは何だ?
富か?
名声か?
八頭身でハンサムな肉体か?


宝くじを当てて一生遊びほうける
いいじゃないかいいじゃないか


何か
何かしらで名前が売れて有名人になる
いいじゃないかいいじゃないか


生まれ持った
もしくは整形して手に入れた美貌
いいじゃないかいいじゃないか


そうだ全てだ
全て上手くいけばいいと思ってる


でもたいていの奴らは
ひとつひとつ
些細な喜びを努力したり幸運で手に入れ
そこで一旦
満足する
満足したフリをする
無理矢理にでも満足しなきゃやってられない


俺はしかたなく生きてる
しかたなく仕事をし
しかたなくメシを食い
しかたなく遊んでいる


これなら俺でもなんとかやっていけそうだ

妥協に妥協を重ね
しかたなく生きている


しかたなく生きることで手に入れられるもの


生きてやっている
という傲慢さ


本当は投げちゃってもいいんだぜ?
という脅し


誰もきいていない
見てさえもいない


それでも俺は誰かがきいていると信じ込んでいるフリをして
誰かが見ていると信じ込んでいるフリをして


ほらよ
と生きてやっているフリをしている


みんなハッタリだ
生まれてきて一ミリ身長が伸びたときから
みんなハッタリをかまして生きている


ハッタリをかまして大きくなり
ハッタリをかまして勉強し
ハッタリをかまして金儲けをし
ハッタリをかまして幸せになる


自分がハッタリをかましていたことに気づいてしまった俺は
だんだんと
着実に
ハッタリをかませなくなってきた
これからの自分の行く末が心配だ


残された道は
全てを手に入れ
ハッタリをかますまでもなく相手が退散する脅威となること
怪物になること
そうか俺は怪物になりたかったのか