詩『ゆれる』

生きれば生きるほど
話せば話すほど
稼げば稼ぐほど
皮を一枚剥がされるよう
かと思うと
ペンキを塗られるよう


できるだけ上手に生きようとも
できるだけ下手に生きようとも
できるだけだからできるだけでしかなく
剥がされたり塗られたり


狩りをして生きたい
今日マンモスを一頭捕まえなければ
飢えて死んでしまうという
マンモス?
はっ
と私は笑ってしまう


そんな所で
笑わないようになりたい
マンモスなんかで笑わない


マンモスはいないからとりあえず
動物園に象を狩りに行こう
動物園には必ず象がいる
もちろん焼いて食べる
ばい菌がいるもの
でも味付けはしない
味付けなんて
もっとずっと後の
いつでも肉が手に入る人のすること


肉が残ったら氷漬けにする
氷の国で
氷の国?
おっと
笑うところだった
笑いそうになるのも駄目
だって生きるか死ぬかの話をしているのだから
本当にあるものを
笑ったりしちゃいけない
本当にあるのだから


夜中にふと喉の渇きで目を覚まし
冷蔵庫を開けて何もなかったとき
私はそんなことを考えながら
水道水を
それもコップなんかに入れて飲む