詩『蛇』

公園で蛇を見たと
馬鹿みたいに興奮して言った私に
それはアオダイショウだな
と投げつけたあなたは
アオダイショウに噛まれてしまえばいい


そう思っていたら
まあアオダイショウには毒がないからね
とあなたは言い
私ばかりでなく
私が公園で見た蛇のことも
アオダイショウのことも
まとめて全部分かったような顔


アオダイショウアオダイショウって
見てもいないのに言ったあなたは次に
毒を持つハブとマムシについて語り始める


ハブとか
マムシとか
どうだっていい
ハブとかマムシなんて
ハブとかマムシに噛まれてしまえばいい


図鑑を眺めてみても
私は自分の見た蛇が何なのか
未だに分かっておらず
アオダイショウとはちょっと違う気がするし
というか自分が見た蛇がどんなだったかほとんど覚えておらず
なのに私は新種を発見したのかもしれないという気がしてきて
興奮は初めの比じゃない


その興奮を
あなたにぶつけようと一瞬考え
一瞬でやめた


きっとあなたは
面倒なそぶりを見せながら
仕方なく言ってやるんだというふうに言う
だからアオダイショウだって


違う私は新種を発見したんだ