詩『ポケットに入れて』

疲れ切った体で家に帰り
それでもごはんを食べて体をきれいにして
今日やるべきことを全て終わらせて
きちんと椅子に腰かけて
私は絶望の整理に取り掛かる


一つ一つ
箱から取り出して
机に並べる


一つ一つ並べてみると
何でこれが絶望なんだと思うものも紛れていて


人差し指と親指で
私はそれをつまみあげ
ははっ
と笑ってやると消えてなくなった


さて
と私は再び絶望に向かい合う


そこに並ぶ絶望どもは
針ほどの隙間もないようで
ああこれが絶望だ
と私は思う


いつからこんな完璧な絶望を抱え込んでいたのか


はあ
と私はため息をつく
また一つ
絶望が


それで私は気づいた
そうか
絶望だって最初は小さなことなんだ


なあんだ
急に
でっかいのが現れている気になっていた


そうか
そうなのか


私は絶望を全て箱に戻し
明日から
でかけるときに絶望を一つポケットに入れて
どこかに捨てて帰ることにして


そして眠った