詩『Working!』

誰でもできるような仕事にばかり従事していると
俺じゃなくてもいいんだよなあ
という自虐心さえもだんだんなくなってくる
やってやるか
とまともな職歴もないのにオファーを受けたような気持ちで働くようになる


食うために仕方なしに仕事には就くけど
仕事が決まる度に俺は
ああ、また仕事か
と思う


本当は誰だって働きたくない
多分
少なくとも俺は


いかにサボるか
子供の頃からそんなことばかり考えていた
好きなことであってもサボっていたような気がする
ということは好きじゃなかったのか?


今だってそうだ
クビにならない程度に
サボってしまう
ぎりぎりのサボり具合ということに関しては
感覚が優れているのかもしれない


辞めるのはいつも自分から
上司は優しい言葉をかけてくれる
引き留めるようなことを言う
ありがたいことですが……
と口で言いながら俺の頭の中にあるのは
俺なんか早くクビにした方がいいのに
という心配
そもそも何で俺なんか雇ったんだろう
という不思議
俺を雇った上司への同情


俺のことを本気で信頼していた上司がいた
俺も奴のことは信頼していた
サボるにはサボったが
奴のためなら
という気持ちが働いた日もあった


サボっているときに奴の顔が浮かんで
腰をあげて仕事に戻ろうとしたとき
騙し合いだ
と俺は気づいた


騙し合って
騙され合って
騙されていることに気づいても
黙って騙され続け
俺たちはそれで何とか崩壊せずに付き合ってる


そんなことでいいのか
欺瞞だらけの世の中でいいのか
と俺は思ったけど
それがなければ俺なんて野垂れ死ぬだろうから
とりあえずは黙って働くことにした