詩『せめてそのくらい分かって生きていく』

くだらない仕事に従事し
上司からあれやこれや指示され
けど最初
そこには優しさらしきものがあった


俺は勘違いした
こいつ、いい奴なんじゃないか?


けど次第に明らかになってくる
くだらない仕事だと思っていたのは俺だけじゃなかった
奴もまた多くの人間と同じように
金のために魂を売り渡したのだ


奴の目的は
俺たち労働者のご機嫌をとり
気分良く働かせること
自分の仕事を余計に増やさないこと
優しさなんかじゃなかった


一週間で化けの皮が剥がれたとはいえ
あれを優しさと呼ばないのなら
もう何が優しさなのか俺には分からない


化けの皮だろうが何だろうが
一年剥がれなければそれは優しさになるのか?
違うよなあ


俺が同僚と何か問題を起こすと奴は言った
大人なんだから
仲良くやれよ
好き嫌い言うなよ


大人なんだから?


違う逆だ


大人なんだから
好きか嫌いかくらいちゃんと分かってなくちゃいけない


奴の言う通りに生きて
やがて全てを愛することができるようになるならまだマシだが


たいていの人間は
全てを憎むようになることを
俺は知っている


まあどう生きるかなんてそいつの勝手だが
俺は愛するために憎む
憎むためには愛さないけれど