とびっきりの良いことがない代わりに
とびっきりの悪いことが起きないようにできないものか
なんてことのない一日が終わろうとしているときに俺は考える
落ち込んでいるわけじゃない
いや、そんな断りが出てしまう時点である意味落ち込んでんのかも
でも最近起きた悪いことを箇条書きにしろって言われても
たいしたことは思いつかない
例えこれが何かの資格のための試験だったとしても
資格……俺が幼いころから理由もなく嫌っているものだ
まあ
平穏な毎日を送りたいってことだ
ただし俺が言う平穏ってのは
起床時間
出勤時間
バスの時刻表
買い物
公共料金
俺以外の誰かが決めたルール
俺が決めたルール
雨
突っかかって来る奴
そんなのを気にしなくていい毎日
でも現実は厳しい
現実は現実として存在するけど
この世のどこかには俺の言う「平穏な毎日」を送ってる奴がいるんじゃないかって思う
一人くらい
一人いるなら
俺が二人目になることだって可能なはずだ
そいつが天才か
超人的運動能力を持っていないことを祈るばかり……
とにかく現時点でのことを言えば
目覚まし時計を買った時点で俺の負けなのだ
その他
俺はさまざまな
数えきれないほどの
敗因となるものを
金を出してわざわざ自ら背負ってきたのだ
そのことを今自分で分かっている限り
俺はまだ「完敗」はしていない
メーターで言えば限りなく完敗に近づいていたとしても
なに
一つ一つ捨てていくさ
自分でも気づかないほどのペースで
少しずつ
少しずつ
そうやって俺は勝利へと近づき
ついには勝利を手に入れるのだ
はっはっは……