詩『独り言は囁くように自分の耳にだけ届くように』

コツコツコツコツ
それは俺が歩く音か
あるいは誰かが歩く音か


誰もが
誰も歩いたことのない道を行き
なのに自分以外は安心しきっているように見える


俺もせめて安心したふりをして
堂々としていればいいのか
いいのか?
脅えながら歩く道もまた俺の道


年齢を重ねている奴を見るたび
年齢を重ねていれば重ねているほど
尊敬の念を抱く
たとえボロキレをまとった歯のない男でも
どうやってその歳まで生き延びたのかを教わりたくなる
だがその男から教えを授かったとしても
俺はその男にさえなれない


さあ
俺はどうなるのか
どうなってもいいが死ぬのだけは絶対に嫌だ
という覚悟ができる日は訪れるのか


とにもかくにも
歩かねばならない
おっと
反対方向だった
反対方向?
一体誰と反対だというのだ