詩『診断が下されて得られる安心もある』

 

 

夢を見て目を覚ます

その夢が何かを示唆している気がする

俺はこう考えているんじゃないか

こんな傷を負っているんじゃないか

深層心理にこんな欲求があるんじゃないか

見栄と少しばかりの理性で抑え込んでいるんじゃないか

 

 

その解明は精神科医臨床心理士に任せるとして

俺は今日も朝飯を食い、昼飯を食い、晩飯を食う

ビールを飲み、散歩し、ハトを眺める

女が欲しいと思う

 

 

街中を歩く男女を見て

俺は腕を組んで考える

一体こいつら

どこで出会い

いつから愛し合っているんだろう

どんな約束をしたんだろう

相手の何を信用しているんだろう

 

 

やりたくもないことに身体を預け

金をほしいと思わないように

楽しみと面倒がそれぞれ二倍になるなら

女なんていらねえや

そう思って歩き出したときに限って

向こうから飛び切りの女がやってくる

 

 

よし仕方あるまい

楽しみだけかっさらって

面倒が起こる前に逃げてやる!

 

 

女との距離が近くなり

声をかけようとしたとき

その女の後ろから男が現れ

親しげに女の肩を抱く

 

 

精神科医臨床心理士みたいな奴だった

 

 

総合的な判断により

俺は家に帰って今日を終わらせることにした