高速を走る車から手を出して
あるいは二の腕の後ろを触って
女の胸の感触だとふざけていた
触ったことがないから
ふざけることができた
想像し
頭を膨らませた
しかし一度実物を触ってからというもの
そんなことはしなくなった
ガキっぽいと
過去の自分たちに呆れている
そしてなぜか
呆れている今の自分のことを悲しく思う
それは俺が触りたいときに触れる男ではないからであり
一方でそのぬくもりを知っているからだ
手のひらに女の胸を貼りつけて
いつでも触れるようになったなら
しばらくはぬくぬくと暮らせても
また次を求めるに決まっている
比喩ではなく
女と一体になれたなら
最後には何を欲するのだろうか
多分
消えたくなっているのだと思う