詩『冬の夜の公園』

冬の夜に家を出て
普段は横を通るだけの
近所の公園に行こうと思い
暗い夜道を歩いた


冬の夜の公園なんて
多分誰もいないだろうと考えながら
誰もいないから行く気になるんだろうと思いながら
歩いた


その大きな公園の入り口には
車が止められていて


あれ誰か来てるのかな
と私は思い
カップルかもしれない
と思い


こんなに寒いのにご苦労様
と一人ごちて


けどもう来ちゃったし
と中に入る


公園は静かで
裸の桜並木の間のジョギングコースを歩き
一周して
もとの展望台に戻ってきて


あれ誰もいないじゃん
と肩すかしをくらった気分で
とりあえずベンチに座って町の景色を眺めてみて
人々の灯す明かりはきれいだったけど
感動するほどではなくて


寒いしもう帰ろうかなと
ベンチから腰をあげ
街の明かりを背にしたとき
私は誰かに会いにきたのかもしれないと思った