詩『酔うためのビールに酔えなかったけど』

底が見えたと思って焦って
こんなところが自分の底かと悲しくなって
もうやめようと思った


今日は眠れないだろうと覚悟して
一人で缶ビールを飲んでみても酔えはせず
酔えないならビールを飲む意味のない私は
酔おうとしたことがあほらしくなって
早い時間にベッドに入り


頭から布団をかぶって
明日からどうやっていくか考えるつもりでいたら
すぐ
それもぐっすり眠れてしまった



ベッドの上で体を起こしたきり
ぼうっとして
しばらくして朝日の差す部屋を見回して
ああ朝日だと思い
布団を剥いで冷たいフローリングを踏んで
今日は休みなんだと気づいて
休日の過ごし方を忘れてしまった気がして
またぼうっとして


とりあえずキッチンに行って水なんて飲んでみて
トイレに行こうと思ったけどしたくないからやめて
寝巻のまま机に向かって
今日一日のスケジュールを紙に書いてみる


できあがったスケジュール表は
長い間考えたのにすかすかで
つまらないもので


昨日やめたはずのことを考えて
ああ休みの日はいっつもこれやってたんだ
と遠くから思い
するとそれをやってみてもいい気がしてきて
暇なんだしやってみようかという気がしてきて
いやむしろやりたいような気がしてきて


軽い気持ち
軽い気持ちでいることを意識してやってみたら
昨日見た底は横穴の底だったんだと思えてきて
そしたら自分が何か楽しいことをやっている気がしてきて楽しくなってきた