詩『夜道で襲われたときは冷静に』

どうもやる気が出ない
何もかもがだるい
不安?
いや違うな
そんなものはとうに捨ててしまった


「やってきたことは全てベストだった」
そう言い切るのは安易だと非難されがちだが
そう思うしかない
そう思わないと
そう信じないと
余計な深みに引きずりこまれてしまう


さて
信じると言ったって
後悔というものはしつこくつきまとってくる
特に打ちのめされたとき
ここぞとばかりに俺を飲み込もうとする


あのときああ言っていれば
あのときああやっていれば
まあたいていの後悔というものは
言葉じゃなくて行動につきまとう
言った言わなかったはさして問題ではない


いつでも問題になるのは行動の方だ
行動に言葉がついてくる
人は気づかないうちにつじつま合わせの言い訳を並べすぎる
サルはそんなことしない


その行動への後悔
どうしようもない後悔
それは忘れようったって忘れられるもんじゃない
長い間
もしくは一生
付き合っていくしかない


長い間もしくは一生を
少しでもマシにするために
後悔に襲われたときに俺は
それを今と結びつけたりしない
後悔と今の間に因果関係を見いださない
たった一つの失敗が
今の自分を構成しているわけではないとちゃんと理解しようと努める
間一髪のところで
けれど余裕を持って過去を眺める


そしたらその失敗も
そんなに悪いものじゃなくなってくる
「思えてくる」んじゃない
実際に
現実に
悪いものじゃなくなる
失敗そのものが成功に転換するとは言わないが
理科の実験の失敗例のように
ただの事実として突っ立つ
そこには悲しみはない


俺はそのことに
一真面目にやってきたことが何の評価もされなかったときに気づいた