詩『don't try』

このどうしようもない世の中で
というか
どうしようもないと思える世の中で
何をしようとしているのか


何もしないでいることが一番だ
けれどそれはできない
死ぬわけにはいかない
生きろという本能があるだとか
そんなことではない
人間は
死に際でなければ
そんなものは感じない
そして俺は死に際にはいない


俺の行動を
邪魔するものがある
一体なんなのか?


かつてはもっと自由に動き回れたのに
そしてもう少ししたら
もっと自由に動き回るだろうに
ただ
今動けないというだけ


この動き回れない時間というものは
何のためにあるのか
準備をしているのか
貯めこんでいるのか
どうなるとも知れない未来に向けて


俺にはただ時間が過ぎているようにしか思えない
何も得ず
何も失わず


いや
そもそも失うってなんだ
どんなときだって
俺は何も得てこなかったし
何も失ってこなかった


ただときどきハンマーか
もしくはもっと柔らかいもので叩かれているらしく
自分の形が少し変わったのを感じるだけだ
気にならないくらい少しだけ
そしてそれを気づかせるのは
俺の言葉だったり
俺の行動だったり
まったく恐れ入る
気づいたときにはもう変わってんだから


誰かじっと俺を見ていてくれないかなって思う
で、俺の形が歪みそうになったら言ってもらうんだ
「おい! あぶないぞ!」


「うそつけ!」と俺は叫びながら体をぺたぺた触る