詩『ドクター・ストップがかかるまで』

 

かつて俺は

もっと自信満々だった

万能ではないが

少なくとも

自分が決めたことは

必ず実現できると

 

 

自分が特別だと妄信しているわけではなかった

ほとんどの人間は

やろうともせず

やっても簡単に諦めてしまう

だから俺は

やり

諦めない側の人間であろうとした

 

 

あれから十五年

少しまずい状況にある気がしてきた

もしかしたら俺には

才能がないんじゃないか

何も進歩していないんじゃないか

追い続けることに酔っているんじゃないか

 

 

だが諦めた自分を想像したところ

どうもそれは俺の形をしていない

何か

別の生き物のようである

そこに誇りはなく

心からの喜びも見えない

仮面をかぶり

幸せです、幸せです、幸せですと

まわりと自分に

言いきかせている

それは俺が

もっとも嫌う自分だ

 

 

俺が意地を張る相手は

俺自身に他ならない

俺は俺を打ち負かし

よりよい俺を残していく

歯向かってきた俺どもも

俺が制圧する

制圧できなければ

俺はそこまでの人間だ

潔く

静かに負けを認め

トロフィーをムカつく俺にくれてやろう