詩『地球の裏側の現実をテレビで知ることで俺たちは不幸になった』

夜の電車のシートに腰をおろし
アナウンスののちに電車が発進し
振動を感じ始めると
今日一日を何とか乗り切ったことに気づき
一息ついたはずなのに
すでに明日の労働のことを
さらに起床の辛さを想像し
寝苦しいベッドのことを想像し
嫌になって
想像するのをやめる
希望だけでなく
絶望まで思い描いてしまう想像力とは一体何のためにあるのか
希望は毎回違う姿で現れては一瞬で消え
絶望は毎回同じような姿で現れてはだらだらと続く


俺は周りの乗客を見渡して考える
こいつらが今までに稼いだ金
それが全部俺のものになったらなあ


一人一人の年齢と身なり
そこからそいつが稼いだ金を計算する
それを足していく


俺が一人何もせずに生きていくのに十分な金
そんなもの大した額じゃない
ほんのいくらか
しかしそれを得るには勤勉さかあくどさが必要で
なければ道を這うしかないとくる


たまたま
たまたまの気質で上手く生きられるかどうかが決まる
そんなのってフェアじゃない
フェアじゃないけど
どうやらこの世ではフェアってことになってる
この世を支配する成功者にとって
フェアであることが
自分の力をより強く示すことになる


俺は必ずいつか運か何かで何かしらの成功を収め
そして言ってやる
この世はアンフェアだと
成功者は生まれもった才能だけで成功したのだと


そしたら
きっと世界は平和になる