詩『ウイルスなんてへっちゃらさ』

 

風邪をひき

俺は何日もベッドの中

メシが食えず

風呂にも入れず

自分が汚れに包まれていくのが分かる

身体が軽くなる一方で

外側の層が厚くなっていく

やがて目と耳と口と鼻が塞がり

泥団子になってしまうところを想像する

 

 

ひどい頭痛と寒気が引き

少しだけ回復の兆しが見えた日

今夜を乗り切り

明日の朝になれば元気を取り戻しているだろう

そんな時

俺は自分が前向きになっていることに気づく

やっぱり健康が一番だ

早く太陽の光を全身で浴びたいな

仕事も散歩もはかどりそうだ

すきっ腹にうまいものを詰め込んでやろう

そんな希望を抱いている

 

 

危ない危ない

俺にはそんな暇はないんだぞ

危ない危ない

俺はそんなことを望んではいけないんだぞ

危ない危ない

俺にはやり遂げなくてはならないことがあるはずだ

何か

きっとあるはずだ

 

 

そうじゃなきゃ

いくら何でも悲しすぎないか

 

 

腋に挟んでいた体温計が鳴り

俺に何かを伝えようとている